魚恐怖症はアメリカで三大恐怖症一つに数えられる動物恐怖症の一種とされていますが、英語でIchthyophobiaと表記される通り、独立して考えられる場合もあります。
他の恐怖症と比べても恐怖の対象は十人十色で、中には説明がしにくいケースもあるので注意が必要です。
魚恐怖症とは?
悩む人の多さ:★★☆☆☆
生活密着度 :★★★★☆
克服可能度 :★★★☆☆
総合危険度 :★★★☆☆
恐怖の対象を魚に限定すると、悩む人の数は少ない方ですが、軽度のものを含めると中程度の患者数になると言われています。
生活の中で魚を完全に回避する事は難しく、避けるよりは軽減か克服に向けた治療が望ましいと言えるでしょう。
魚恐怖症の原因と症状
魚恐怖症の原因は、過去のトラウマ体験が原因となる場合と他の恐怖症を合併しているケースに大別されます。
しかし原因が思い当たらないという例も多く、未だ謎が多い恐怖症として研究の対象にもなっています。
恐怖の対象は人それぞれで大きく変わる傾向にありますが、主なものを紹介します。
魚の群れが怖いケース
水族館のイワシの群れなどに恐怖を感じる例では、集合体恐怖症との合併が疑われます。
魚の集合体だけが怖い例では判断が分かれますが、どちらの要素が強いかで治療も変わるので、正確な診断が求められます。
死んだ魚が怖いケース
死んだ魚のみが恐怖の対象となる例では、魚の目が怖いというケースと死んだ魚の姿が怖いケースに分かれます。
姿煮や焼き魚などの料理に対しても症状が表れる事がほとんどで、家族や周囲を巻き込んでしまう可能性もあり、食卓や栄養バランスにも影響してしまいます。
大きな魚が怖いケース
この例は巨大生物恐怖症と関連するとも言われていましたが、現在は否定されています。
水族館の大きな魚やエイなどにも恐怖を示し、イルカショーをも怖がるのが特徴的です。
巨大生物よりは野生生物恐怖症との関連が新たに指摘されており、原因が不明な例が多いのも特徴です。
全ての魚が怖いケース
種類や大きさを問わず全ての魚類が恐怖の対象となる場合、貝類にも波及する場合があります。
魚だけでなく海や磯の香りに対しても恐怖を感じ始める事で海洋恐怖症を合併してしまう事が多く報告されています。
このケースでも魚料理を極端に避ける傾向にあり、重症例では海に入る事や船に乗る事にも症状を表します。
その他のケース
魚のウロコや魚体の質感に対する恐怖では質感恐怖症が原因となっているケースがあり、カエル恐怖症に似た特徴を持ちます。
他にも魚が陸でピチピチと跳ねる姿が怖い例や、特定の種類の魚のみが怖いケースなど、恐怖の対象は様々です。
魚恐怖症の症状
恐怖の対象に関わらず限局性恐怖症特有の症状が表れる事が多く、心拍の乱れや硬直、多量の発汗、吐き気などが挙げられます。
重症時では嘔吐やパニック発作に至る例も確認されています。
魚恐怖症への対処、克服法や注意点
生活に大きく影響が出る場合は、医療機関での治療が推奨されています。予期不安を伴う例が少ない事から、薬物治療が選択される事はほとんどないと言っても良いでしょう。
基本的な治療は認知行動療法が使われ、森田療法や系統的脱感作法、認知再構成法などが試され、治療の後期には曝露療法(エクスポージャ法)が導入される事が多いようです。
いずれにせよ家族や周囲の理解を十分に得る事が克服への第一歩となります。
まとめ
恐怖の対象が様々な魚恐怖症は生活密着度が高いものもあり、他の恐怖症を合併するリスクが多いのが特徴です。
医師やカウンセラーの下で治療を行う事で高い効果が期待できるとされ、必ず周囲の理解を得た上で克服や軽減に向けた治療にあたるようにしましょう。
あなたが魚恐怖症を克服できる日が来る事を心から願っています。