海が恐怖の対象となると聞くと過去に溺れた経験があるのではと思われる事が多くありますが、実態はそうではなく、溺れた経験がない人が大半なのはあまり知られていません。
人によって原因は様々である事が分かっていますが、最新の研究によってそのメカニズムが解明されつつあります。
このページでは海が怖いという海洋恐怖症の原因や症状、克服法について詳しく解説していきます。
海洋恐怖症とは?
悩む人の多さ:★★☆☆☆
生活密着度 :★★★☆☆
克服可能度 :★★★☆☆
総合危険度 :★★★☆☆
日本ではマイナーな恐怖症で、悩む人の数は少ないとされていますが、海外ではThalassophobiaと呼ばれ、比較的メジャーな恐怖症として知られています。
その理由として、日本では幼少期から水泳を学びますが、韓国やヨーロッパ、その他の海に面していない国では水泳が授業で取り入られていない事が多く、海の怖さというより海の事が分からないという理由で恐怖の対象となる事が多く見られます。
海を避けて生活する事は可能ですが、船や飛行機で海を渡る事は困難なので旅行に行けない例もあり、症状によっては治療をする必要があるでしょう。
完全克服の成功例は症状や原因によってまちまちで、短期間で治る事もあれば長期化する事もあるようです。
海洋恐怖症の原因と症状
海が限局性恐怖症の対象となる原因は様々で、過去に溺れた経験がある人はもちろん、そういった経験がない例も多くあります。
海から何か出てくるかも知れないと思う巨大生物恐怖症や湖恐怖症に似た例や、海の塩分の刺激が恐怖となる例、足が付かない事や息ができない事を恐れる例、他にはこれといった原因がないのにも関わらず症状が出る例も報告されており、予期不安と強い関わりがある事が分かっています。
症状としては硬直や動悸、心拍の乱れ、吐き気などがあり、重症時には嘔吐やパニック発作に至るケースもあります。
実際にどうしても海に入らなければならない場合、この症状自体が溺れる事に直結する危険性が指摘されており、警戒すべき危険な恐怖症とされています。
恐怖症への対処、克服法や注意点
症状が重く不安障害と診断されるほどになると、海を想像しただけでも症状が表れる場合もあり、薬物治療が優先される事もあります。
そうでない場合は基本的には認知行動療法が選択され、曝露療法が主な治療法となります。
まずは足の付く場所から始め、海の浮力を体感したり、人が自力で行ける範囲の海中を覗いてみる事で安心感を高める方法が有効です。
しかし長期間の間海から離れているとまた同じ症状が出るケースもあり、根本からの治療法が研究者によって模索されています。
また独自の曝露療法は危険で症状の悪化を招く事もある事から、治療は必ず医師やカウンセラーの下で取り組む事が前提となります。
まとめ
海洋恐怖症は様々な原因によって引き起こされる恐怖症ですが、溺れた経験がないというケースも多く、予期不安との関連が強く疑われる恐怖症です。
症状が進行すると他の恐怖症を合併したり、不安障害に至る危険性があり、早期の治療が推奨されています。
治療は必ず周囲や家族の理解を求めた上で医療機関で行うようにしましょう。
あなたが海洋恐怖症を克服できる日が来る事を心から願っています。