蜘蛛恐怖症(以下、クモ恐怖症)は単にクモが怖いというだけでなく、恐怖症として症状を表す限局性恐怖症として知られています。
その恐怖は恐怖症でない人から想像できないと言われており、下手に治そうとすると重症化したり、他の恐怖症を併発する恐れがあります。
このページではクモ恐怖症の原因や症状、克服法や注意点について詳しく説明します。
クモ恐怖症とは?
悩む人の多さ:★★★☆☆
生活密着度 :★★★★☆
克服可能度 :★★★★☆
総合危険度 :★★★☆☆
クモを恐怖症と呼ばれるレベルに恐怖を感じる人はそう多くはないとされていますが、どこまでの恐怖を対象にするかによって潜在的な患者は多くなるでしょう。
昆虫恐怖症や野生生物恐怖症と混同されがちですが、クモは昆虫ではなく、野生生物恐怖症の対象からも外れる事から、全く別の恐怖症である事が解明されています。
学術名には英語が採用されArachnophobia(アラクノフォビア)と表記され、同タイトルの映画もスティーヴン・スピルバーグの製作総指揮の下で1990年に公開されています。
特に小さなクモ突発的に出くわす事を日常で完全に避ける事は非常に困難で、生活密着度は高いと言えるでしょう。
また本能的な回避や生理的な嫌悪が原因となる場合、完全克服は難しいと言わざるを得ないでしょう。この場合は軽減に向けた治療が行われます。
クモ恐怖症の原因と症状
種類によって毒グモの存在がありますが、人類の歴史においてクモが非常に危険な生物であると認識された形跡は見つかっていません。しかも人の命を奪うほどの毒を持ったクモは数種類にすぎません。
なぜクモに対する恐怖症になるかは正確にはわかっておらず、その分原因も様々である事が報告されています。
過去には進化心理学者が提案した、蜘蛛に対する恐怖は人間の生存本能だという説が一時は一般的でしたが、現在はあまり支持されていません。
なぜなら、もっと大きく獰猛な動物を怖がる本能よりも、蜘蛛恐怖症の人は蜘蛛に対してより強く反応するからです。
小さな体で大きな攻撃力(毒)を持っている事に対する違和感から来る恐怖が一番多い例ですが、クモの大小にはそれほど関わりがない事が分かっています。
※研究者による発表を追記します。
イスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学が発表した2016年の研究結果によると、蜘蛛恐怖症の人には実際の蜘蛛のサイズより大きく見えている事が分かっており、他人とは違った見え方がしている可能性が指摘されています。
蜘蛛の巣のみに対する恐怖を感じるという例もありますが、蜘蛛恐怖症と区別するかどうか議論されています。
また、体毛の多いクモに限定される場合は集合体恐怖症が関連する可能性が拭いきられておらず、今後も様々な研究がなされていくでしょう。
症状の多くは硬直やパニック発作が挙げられ、突発的に出会う事が多いという原因で重い症状に悩まされる人が多数を占めるとされています。
※実例がありましたので追記します。
実際にその反応はすさまじく、事件や事故にまで発展する例すらあります。
BBCによる特集では、カリフォルニア州では自宅で発生した蜘蛛をたいまつで退治しようとした男性が自宅ごと燃やしてしまったという話やオレゴン州で車を運転していた女性の手に蜘蛛が乗り、運転不能に陥って交通事故に発展してしまったケース等が紹介されました。
クモ恐怖症への対処、克服法や注意点
クモ恐怖症の人の気持ちはそうでない人には理解できないという根拠が示されている通り、近年で多くの恐怖症に有効な効果を発揮する森田療法はこのケースではむしろ危険とされます。
あえて恐怖を感じる環境に身を置く曝露療法(エクスポージャー法)も効果は薄く、治療法は限定されてしまいます。
それでも認知行動療法が治療の基本となりますが、初期段階では自己教示訓練法を取り入れながら系統的脱感作法を後期に組み込む技法が支持されています。
稀に薬物治療が試されるケースはありますが、幼少時での発症例では思春期が終わるまで投薬は避けられます。
独自の方法や説得、説明ではほとんど効果がないという事が確実視されており、克服や軽減への治療は必ず医師やカウンセラーの下で行うようにしましょう。
まとめ
クモ恐怖症は思ったより危険度が高い恐怖症で、完全克服の可能性は比較的低いと言えます。
しかし軽減を目的にするならば有効な治療法は存在するので、普段の生活も少し楽になっていくでしょう。
治療にあたっては医療機関での慎重な診断が克服や軽減への近道になります。
あなたがクモ恐怖症を克服できる日が来る事を心から願っています。