お金は社会生活において当然必要なもので、嫌いな人は少ないと思われます。
しかしお金に恐怖を感じ、限局性恐怖症としての症状を表す人もいる事がわかっています。
金銭恐怖症は日本国内のみならず海外でも見られ、英語ではChrometophobiaと表記されます。
このページでは金銭恐怖症の原因や症状、克服法について詳しく解説していきます。
金銭恐怖症とは?
悩む人の多さ:★★☆☆☆
生活密着度 :★★★★★
克服可能度 :★★☆☆☆
総合危険度 :★★★★☆
金銭恐怖症に悩む人の数は比較的少ないとされていますが、生活密着度は突出して高く非常に危険な恐怖症の一つに挙げられます。
完全克服できる可能性も低く、生活に支障がない程度までの軽減を狙った治療は見込めますが、それが危険度の高さに拍車をかけています。
他の恐怖症を併発する可能性もあるので、症状によっては間違いなく治療が必要となるでしょう。
金銭恐怖症の原因と症状
別名「買い物恐怖症」と言われるように、充分なお金を持っていながらもそれを使う事や口座の残高が減る事に異常なまでの恐怖を感じ、家計を上手くコントロールできないようになります。
親や親戚の借金など、過去のトラウマ体験が原因となる場合もありますが、大抵は予期不安が強く関係し、不安障害と診断される事もしばしばあります。
お金を使えないだけでなく限局性恐怖症としての症状が表れ、強い頭痛や動悸、吃音(どもり)、心拍の乱れや吐き気に襲われる事があります。
重症時にはお金が減る事を想像しただけで嘔吐や失神、パニック発作に至る例も確認されており、外出を嫌がるようになると引きこもりに発展する事が問題視されています。
過去には黄金恐怖症との関連を疑う声も出ていましたが、現在は否定する意見が大多数を占めます。
金銭恐怖症への対処、克服法や注意点
まず注意点として、金銭恐怖症は周りから理解されにくいため人間関係に関わる問題が発生する可能性が高い事が挙げられます。
具体的には職場で孤立した結果退職してしまったり、家庭内暴力にまで発展するケースさえあります。
まずは家族や周囲と話し合い、理解と協力を得る事が克服や軽減に向けての第一歩となります。
しかし周囲が協力してくれるからと言って独自の方法での治療は症状の悪化を招くリスクが高まるだけでなく、間違うと対人恐怖症などの他の恐怖症を合併する危険性も出ます。
死活問題になる事を避けるためにも、治療は必ず医療機関で行う事を強くおすすめします。
治療は認知行動療法がスタンダードで、実際にお金を使っても一気に困る事がない事を確認する曝露療法(エクスポージャ法)が第一候補となり、必要に応じて認知再構成法や系統的脱感作法などの技法が組み合わされます。
近年では森田療法の効果も高いと言われており、一定の効果を見込む事ができるようです。不安障害と診断され、症状が重い場合は薬物治療が優先される事もあり、治療の後期に認知行動療法に移行しますが、トータルの治療期間は総じて長くなる事は必至となってしまいます。
まとめ
金銭恐怖症はお金を使って残金が減る事に対して恐怖を感じる限局性恐怖症で、日常生活の影響が大きく危険な恐怖症です。
治療は医療機関で行う事が大前提で、周囲や家族の理解と協力を十分に得た上で医師やカウンセラーの下で治療に取り組む事が推奨されています。
あなたが金銭恐怖症を克服できる日が来る事を心から願っています。